スノーショベルの選び方

救助のために。雪山の様々な作業のために。

雪崩に埋まった仲間を掘り出す。積雪の断面を観察する。雪洞を掘り、テント場をならし、防風壁を積み上げる。ときにはイグルーをつくる。スノーショベルは、雪山のさまざまな場面で活躍します。

軽さや収納サイズだけでなく、何のために使い、どれくらいの雪を掘るのかを考えて、自分の用途に合う一本を選びましょう。

雪崩救助に使うかどうかが、最初の分かれ道。

雪崩救助用として携行するなら、まずUIAA 156認証を目安に選びましょう。ビーコンで位置を絞り、プローブで埋没位置と深さを確かめ、その先の掘り出しを担うのがショベルです。

見つけた先にある、掘り出しという重労働。

雪崩救助では、埋没した人の位置が分かっても、救助は終わりません。雪を掘り出し、呼吸できる空間を一刻も早く確保する必要があります。掘り出しは雪崩救助の中でも最も体力を消耗する作業です。

デブリの締まった雪を掘り崩し、繰り返しかき出す。その作業を続けるために、ショベルには壊れにくい強度と、効率的かつ扱いやすい構造が求められます。携行時の軽さだけでなく、実際に掘り続けられる作業性も大切にしましょう。

各種団体が主催する講習会で、効率的な掘り出し方法を学びましょう。

雪崩救助用を兼ねず、整地や雪洞づくりなどに使う場合も、雪山での使用を想定した製品から、必要な強度や作業量に合わせて選びましょう。

UIAA 156は、雪崩救助用ショベルを選ぶ共通の目安。

UIAA 156は、雪崩救助用ショベルの強度や、寸法・構造などの使いやすさに関する規格です。

雪崩のデブリは硬く締まっていることがあり、掘削中はブレード、シャフト、接合部に大きな力がかかります。規格では、曲げや引っ張りに耐えることに加え、効率的に掘るための形状や操作性も定めています。

曲げに対する強度と剛性

掘削時の力に耐え、壊れない十分な強度。

引っ張りに対する強度

シャフトや接合部の抜け・分離に対する性能。

寸法・形状・操作性

ブレードの大きさやシャフトの長さなど、現場で扱うための基本要件。

適合品同士でも、重量、ブレードの大きさ、シャフトの長さは異なります。認証を目安にしながら、自分の用途に合うショベルを選びましょう。UIAA 156は強度だけでなく形状や操作性も定めているため、認証がないことが、そのまま強度不足を意味するわけではありません。認証のない製品を選ぶ場合は、メーカーが雪崩救助用として設計しているかを確認し、強度や作業性についてメーカーや輸入代理店に問い合わせましょう。

雪崩救助には、救助用として設計されたショベルを。

ホームセンターなどでは、アルミ製で、一見すると雪崩救助用ショベルによく似た携帯ショベルも見かけます。しかし、外観が似ていても、雪崩救助を想定した製品とは限りません。

雪崩救助では、デブリの締まった雪を繰り返し掘り続ける必要があります。アルミ製であることや形が似ていることだけで、必要な強度や作業性があるとは判断できません。ホームセンターなどの一般的な携帯ショベルを、雪崩救助用の代わりに選ぶことは避けましょう。

軽さ・掘りやすさ・収納性を見比べる。

長期山行なら、軽さ

長期山行や長距離のツアーでは軽さが魅力になります。雪崩救助用を兼ねる場合は、救助への適性を確認したうえで、軽さとのバランスを考えましょう。

掘ることを重視するなら、ブレードとシャフト

大きなブレードは多くの雪を掘り出せます。裏を返せば体への負担も増えると言うことです。シャフトを伸ばしたときの姿勢も含め、自分が繰り返し扱える大きさで選びましょう。

雪の排出には、ホーモード

ブレードを鍬のような向きに取り付け、雪を手前へ引いてかき出す機能です。雪洞を作る時に出る掘り崩した雪の排出やテント場の整地などで、通常のショベル形状と使い分けられます。

自分のバックパックに収まるか

ショベルは失うリスクを避けるためにパックの中に収納します。ブレードの形やシャフトの長さが収納性を左右します。自分のバックパックに収まり、必要なときに取り出しやすいか確認しましょう。

雪山での使い方に合わせて、5モデルから選ぶ。

モデルと認証 製品画像 特徴と用途
トランスファーLT UIAA 156:適合
トランスファーLT
軽さを優先しながら、救助にも備える

405gの超軽量設計とUIAA 156適合を両立したモデル。強靭な7075アルミ合金製の薄型ブレードを採用し、接合部はリベットで補強されています。取り外し式の伸縮シャフトを備え、長期山行や装備を軽くしたい人におすすめです。

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トランスファー UIAA 156:適合
トランスファー
価格と基本性能のバランスで選ぶ

コストパフォーマンスに優れた、基本の一本。伸縮・取り外し可能なシャフトと、積雪断面を整えやすい滑らかな底面のブレードを備えています。雪崩救助への備えから積雪観測、テント場の整地まで、幅広い用途に使いたい人におすすめです。

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エバック7 UIAA 156:適合
エバック7
掘る・かき出すを使い分ける

UIAA 156適合に加え、ホーモードへ切り替えられる多用途モデル。通常のショベル形状で掘り、ホーモードで掘り崩した雪をかき出す使い分けができます。積雪断面観測や雪洞設営、テント場づくりなど、雪を掘る機会の多い人におすすめです。

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エバック9 UIAA 156:適合
エバック9
多くの雪を掘る作業に

エバック7より大きなブレードと長いシャフトを備えたモデル。UIAA 156に適合し、ホーモードにも切り替えられます。パトロールやパーティに一本。携行時の軽さより現場での作業性を重視する人に向いています。

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ディプロイ UIAA 156:認証なし
ディプロイ
コンパクトな収納性を重視する

湾曲したシャフトがブレードに沿って収まる、収納性に優れたモデル。シャフトを引き出して素早く使用状態にできます。雪崩救助用を兼ねない用途で、収納時のコンパクトさを優先したい人の選択肢です。

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2本のショベルを、用途に合わせて使い分ける。

軽さを優先したい山行と、雪をしっかり掘る講習や作業。同じ人でも、場面によって求める性能は変わります。2本を所有し、その日の目的や役割、使うバックパックに合わせて選ぶ方法もあります。

トランスファーLT + エバック

普段は軽さを重視してトランスファーLT。講習や雪洞構築など、掘る作業を重視する日はエバック。携行する軽さと、現場での作業性を使い分ける組み合わせです。

トランスファーLT + ディプロイ

普段は軽量なトランスファーLT。収納性や素早く使えることを重視する場面や車に携帯する予備にはディプロイ。軽さを重視する1本と、収納しやすくすぐに使える1本を使い分ける組み合わせです。

あるガイドの使い分け

さらに様々な使い方をするガイドは、どのように使い分けているのでしょうか。あるガイドから伺った、実際の使い分けを紹介します。

モデル 使い分けの例
トランスファーLT プライベートの時のメインシャベル。春のガイドや、冬でもガイドがもう一人いる場合などにも選んでいます。
トランスファー 使用しているエアバッグパックへの収まりがよいため、パウダーシーズンのガイドで使っています。
ディプロイ シャフトを組み立てる必要がなく、引き出すだけで使えるため、主に初心者ゲストへの貸し出しや、車に携帯する予備として使っています。
エバック 救助や捜索、スノーセーフティーの講習で使用。

最初から何本もそろえる必要はありません。まずは主な用途に合う1本を選び、使う場面が広がったら、異なる特徴を持つもう1本を加えると選択肢が広がります。

残雪期には、アイスアックスをショベルのシャフトに。

ベノムLTアックスをシャフトとして使用した構成
ベノムLTアックスをシャフトとして使用した構成

ベノムLTアックスがトランスファーLTのシャフトになります。アイスアックスをショベルのシャフトとして兼用できるため、アイスアックスも携行する残雪期の登山などで、標準のシャフトを省いて装備全体を軽量化したいときに有効です。

トランスファーLTブレードは単品でも販売されています。行動内容に合わせて、標準シャフトのショベルとして使うか、ベノムLTと組み合わせるかを選べます。

選んだ一本を、使い慣れた一本へ。

積雪断面観測には、観察する壁面を整えやすいブレード。雪洞やテント場づくりには、繰り返し掘って運べる作業性。防風壁やイグルーづくりで雪のブロックを切り出すなら、スノーソーとの組み合わせも役立ちます。

雪のブロックを切り出す作業に、スノーソーを。
雪のブロックを切り出す作業に、スノーソーを。

購入後はいろんな場面で使ってみましょう。特に雪の降らない地域にお住まいの方は効率的に雪を掘る練習をされる事をお勧めします。雪崩救助に備えるなら、ビーコン・プローブと組み合わせた掘り出しの練習も大切です。

雪崩救助への備えを出発点に、自分の雪山での使い方まで考える。自分の用途に合う一本が、雪山でできることを広げます。


 

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